
巨大な切り株の中に立ち、ある特定の場所に立つと、頭上にハート型の空が広がります。ここは、日本の屋久島に広がる緑豊かな森の奥深くにあるウィルソン株です。この切り株は、大正時代に広く紹介したアメリカの植物学者、アーネスト・ヘンリー・ウィルソン博士にちなんで名付けられ、縄文杉を目指すトレッキングルートの人気スポットとして愛されています。

豊臣秀吉の命令で切られた大杉の跡
この切り株は、16世紀末に豊臣秀吉の命令によって京都の方広寺を造営するために伐採された、巨大な屋久杉の跡だと言われています。気の遠くなるような歳月を経て、大杉の中心部が朽ちて空洞となり、まるで小さな木の部屋のような空間が作られました。広さはおよそ10畳分もあり、内部には山の神様を祀る祠がひっそりと安置されています。
ひんやりとした木の内部に漂う、静かな空気
切り株の内部に足を踏み入れると、ひんやりとした空気が肌を包み込みます。湿った苔と古い木の香りが鼻をくすぐり、天井の根からは時折、静かに水滴が滴り落ちます。外の明るい緑と、内部の薄暗い影とのコントラストが美しく、歩き疲れたハイカーたちに静かな休息を与えてくれる特別な場所です。

ハートをきれいに見せるための「立ち位置」
実は、この切り株に入ってすぐ見上げても、きれいなハート型には見えません。多くの角度からはただのいびつな円に見えるだけです。きれいなハートを出現させるには、切り株の奥にある祠の左側あたりに行き、かなり低い姿勢でかがみ込んで見上げる必要があります。森を何時間も歩き続けたからこそ出会える、宝探しのような体験です。

ベストタイミング
混雑を避けてゆっくりとハートを見たいなら、早朝の出発がおすすめです。朝一番の登山バスに乗って一定のペースで歩き、一般のツアー団体が到着する前に切り株にたどり着くのが確実です。また、太陽が頭上に昇る昼前後の時間帯は、ハートの輪郭を縁取る緑が木漏れ日を浴びてより美しく輝きます。
気候とベストシーズン
屋久島は「月に35日雨が降る」と言われるほど非常に雨が多い島です。沿岸部は夏に30℃近くまで気温が上がりますが、冬は7〜15℃と比較的温暖で、山岳部では雪が積もることもあります。トレッキングのベストシーズンは、気温が15〜25℃前後と安定し、雨の比較的少ない4月〜5月と10月〜11月です。
Traveler’s Memo
アクセス
安房近くの屋久杉自然館から荒川登山バスに乗り(約30分、片道1,000円)、荒川登山口まで移動します。そこから縄文杉へ続く登山道を片道約2〜3時間歩くと、ウィルソン株に到着します。
予算
ウィルソン株への立ち入りは無料ですが、3月1日から111月30日の間は車両乗り入れ規制があるため、荒川登山バス運賃(往復2,000円)と山岳部保全募金(1,000円)の計3,000円が必要です。現地ガイドによるツアーに参加する場合は、1人あたり10,000〜15,000円程度が相場です。
おすすめグルメ
トレッキング後の疲れた体には、羽までパリパリと食べられるトビウオの唐揚げや新鮮なトビウオの刺身がおすすめです。水分補給には甘くてジューシーなタンカンもぴったり。これらは安房港や宮之浦港周辺の居酒屋や食堂で味わうことができます。
周辺スポット
- 縄文杉: ウィルソン株からさらに登山道を登った先にある、島で最も有名な巨木です。
- 白谷雲水峡: 映画『もののけ姫』の森のモデルになったとされる、苔むした渓流が広がる原生林です。
- ヤクスギランド: 整備された木道が整備されており、体力に合わせて屋久杉の森を気軽に散策できる施設です。
FAQ
ウィルソン株までの登山道は初心者でも歩けますか?
荒川登山口からのルートの前半は平坦なトロッコ道を歩きますが、後半は根が張り巡らされた急な山道や階段を登ることになります。動きやすい服装としっかりとした登山靴を用意すれば、体力のある初心者でも挑戦可能です。
冬でも行くことができますか?
冬でもアクセス可能ですが、12月から2月の山岳部は雪が積もり氷点下になります。また、天候によって登山バスの運休や登山道の通行止めが発生することがあるため、事前に情報を確認してください。
途中にトイレはありますか?
登山道にはトイレが非常に少ないため、登山口や途中の指定された数箇所しかありません。携帯トイレ(現地のショップなどで購入可能)を持参し、設置された専用テントで利用できるように準備しておくと安心です。



